Western Electric製品を復元していくという挑戦において、当社が始めに取り組んだユニットがこのGIP-4181Aでした。
数ある珠玉の銘機の中で、その中心となるべきユニットがTA-4181Aであり、これが無ければ全てのユニットがその本領を発揮させることが出来ないからです。
これは、オーディオに関る全ての方が認知しておられる事実だとは思いますが、低域はその他全ての帯域に影響を及ぼします。
「高域を延ばすためにウーファーを変える。」
この選択肢を持たないオーディオマニアは非常に不幸であると私は思います。

当社の復元作業は、現存するオリジナルユニットの出来る限りの確保、保存状態の確認、個体差の識別から始まります。
現在流通している殆んどのオリジナルには様々な補修の形跡が見られ、当たり前のようにオリジナルとは異なるパーツによって補修がなされています。
位相が逆転していたり、音質のまったく異なるコーン紙やヴォイスコイルが取り付けられているといった次第です。

それらの中には「個体差」という言葉では片付けることの出来ない、別次元の「改造品」ともいえるものまであり、
そういったユニットが流通する過程でWE製品の全体評価を揺るがしているであろう事は想像に難くありません。
このことはオーディオを敬愛する全てのユーザーが危惧すべき深刻な問題であると私は考えます。


当社ではそれらの中から非常に保存状態の良いTA-4181Aを選定。
慎重に解体し、構造解析、素材分析、計測、試聴を進めて厳密に復元を行っております。
それは大変苦しくもあり、数多くの困難をもたらす作業でありますが、また同時に興奮と幸福を感じる仕事でもあります。

例えば、コーン紙の復元だけでも何十種類もの試作・試聴を重ねております。
繊維の一本一本までを精密に分析し、その構成繊維の配合比率や含浸材の種類や濃度、
そして製造法に至るまでの全てを解明し、初めて復元・製品化がなされております。

故に、オリジナルのTA-4181Aと自社モデルとの違いを敢えてご説明申し上げるとすれば、それは「製造時期が70年異なる。」ということに尽きると思います。
それはつまり、良い保存状態、使用環境で使い続けてこられたオリジナルは70年分のエイジングが進んでいるということです。
「こなれ」と「熟成」において、70年という歳月がもたらす恩恵は確かに多いと思います。
しかし、裏を返せばそれだけ疲労と消耗が激しく進み、補修の必要性が高まる要因となることもまた事実であります。
そもそも現存するユニットは、家庭とは比較にならないほどの過酷な環境で長く使用され続けてきたものです。
どんなに望んでも、製造当初の新品状態で手に入れることは叶わないでしょう。
しかし、現ユーザーはその70年の歳月を経てきたオリジナルユニットにして尚、最大の賛辞を送るのです。
それはWE社の多大なる功績であり、当社の目指すオーディオメーカーとしての姿です。


G.I.P.Laboratory
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製品紹介
1936年、WE社が当時の技術を結集させて完成させた、新型シアターサプライ(ミラフォニックサウンドシステム)用の低域レシーヴァーユニットであるTA-4181Aを忠実に復元したモデルです。
中高域に突出した輝きを放つGIP-594Aや、オールレンジに支配力を持つGIP-555に対して、低域をサポートする本機は、強烈なエネルギーによる圧倒的な音場感と迫真的なレスポンスでその存在感を示します。
組み合わせた他ユニットのポテンシャルを極限までに引き上げる本機はウエスタンのみならず多様な組み合わせで効果を発揮します。
形式:コンプレッションドライバー
●ボイスコイル径:18インチ(45.72cm)
●インピーダンス:11.7Ω(400Hz) 15Ω(1000Hz)
●最大入力:25W
●使用帯域:50〜300Hz
●外形寸法:直径18インチ 奥行10インチ
●重量:約22kg
●フィールド電源:DC24V/1,0A
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